動画「祈りをつなぐ祭衣装プロジェクト」補足②

亮布(リャンプー)

「続きはまた明日にします」とか言いつつ、何日も過ぎてしまいましたが前回の続きです(そういうもんだよね笑)。

旧天狗衣装と昔の神楽

ここにきてやっと旧天狗衣装が出てきます。

3分9秒からの約2秒間の映像でもわかるように、旧天狗衣装はかなりぼろぼろです。笑

柿渋か何かで染められたであろう麻糸を手織りし、手縫いで仕立てられている

しかしこの衣装、紐解いてみるとなんと現在80歳代のおばあさまのさらにお母さんの世代によって制作された衣装なんだとか。

だから「百年くらい経つろうなあ」ということなのです。

インタビュイーのおばあさまは、かつて神楽の衣装を預かっていたお宅であり神楽の出発地点だったそう。毎年神楽の時期になると、おばあさまの家でみんなが衣装に着替えて、お神酒を飲んでからいざスタート。それからぐるっと集落を回ってまたおばあさまのうちに戻って着替え、お疲れさん会が始まる…という流れでした。

ちなみにこの頃はまだ、矢田地区の中に小さな神社がいくつもありました。なのでこの天狗衣装はおばあさまの班の神楽衣装ということになります。かなり昔は神社ごとに神楽があったのかもしれませんが、次第に廃れ、神楽が衣装とともに残った最後の班が恐らくおばあさまの班ということになります。

それを現在は集落全体の春祭りの神楽として引き継いでいる、という感じです。

話はまた衣装に戻りまして、旧天狗衣装は麻で作られているのですが、なんと糸から手作業で作られたものであるのだとか。かつて日本のどの地方でも染織文化が生活に根付いていたように、ここ矢田でも糸から布を作っていたんだなあと思うと、布好きとしてはテンション上がります…!

中越地方は過去に大きな地震が何度かあった地域だったため、地域の方から「(使わない古いものは)その時にみんな処分した」と聞くので、染織道具的なものは現在は見当たらない印象です。ちょっと残念。

けれどもどこかの家の納屋にはひょっとしたらまだ、手機とかあるのかもしれませんね。

衣装のお祓い

いよいよ衣装が完成すると、神楽の衣装として着用されてゆく前にお祓いが行われます。

そういうわけで宮司さんがご登場。

ちなみにですが、、冒頭とこの場面とで、宮司さんの着ている衣装の色が違うことに気付いた方はいらっしゃるでしょうか。笑

冒頭シーン
お祓いシーン

冒頭では紫色の衣装を着用しているのですが、こちらは例大祭の時に着用のもの。

お祓いでは黄色の衣装を着ています。

衣装の色の違いについてはちょっと分からないので、今度の春祭りで宮司さんに質問してみようと思っています。笑

秋祭り当日&青年会最後のお二人のインタビュー

ここからいよいよラスト、秋祭り当日のシーンとなります。

実は本来、秋祭りには神楽を出さないことになっています。

そこをなんとか、「新しい衣装の完成を祝してお披露目会をさせてください」とお願いさせていただき特別に出してもらいました(前例がないことだったのでなかなか一筋縄ではいかない部分もあったのはまた別の話…笑)。

最後にインタビューをさせていただいたのが、数年前まで神楽の主体を担っていたとされる矢田青年会のお二人(現在の神楽は矢田長寿会が担ってくださっている)。

お二人は青年会が解散する直前まで会員だった方々で、青年会員ではなくなった今も毎年神楽を手伝ってくださっている素晴らしいお二人です。

動画では載せきれなかったのですが、そこまで協力的なのはなぜなのか尋ねたところ、「もう習慣みたいになっている」とのこと(!)。みんながみんな、そんなマインドになってくれたら…笑

…とは言え、この時の神楽はかなり若手の方が協力してくれました(例年の神楽は人数もこの半分以下、若手の参加もほぼない)! 地域行事への参加はボランティアのようなものなので分かりやすいメリットの提示が難しく、、若手の皆さんに今回の参加をお願いする時はかなりしんどいものがありました(元々人に何か頼むのが結構苦手だったり)。なので、今回こうして若い世代が少しでも参加してくれたのは心底嬉しかったです。

長寿会と参加してくれた若手との集合写真

そして最後、お二人から「逆にあっこらへんが立ちあげてくれれば…」というセリフが出てきますが、矢田は幸いにも一部の世代は地元に残って生活をしてくれている方がまだ何人かいます。

一人ではなかなか難しいことも、横のつながりでうまくまとまって、ついでにほかの世代も巻き込んでいきながらこれからも参加してくれたらくれたらいいなあ、、と、青年会OBのお二人、そして私の期待していることとして動画が締めくくられます。

ラストシーン

ということで、以上が動画の解説でした。いかがでしたでしょうか^ ^

後半は解説というよりも私の思いがかなり割り込んできてしまいましたが(苦笑)、およそ5分半の映像の裏にこれだけの情報を詰め込んでいることがお分かりいただけたかと思います。

こちらの解説をご覧になったうえで、また動画を見ていただけたら嬉しいです!

そしてなんといっても、、今回撮影&編集を協力してくれた柏崎カメラ部の田村さんが最も大変だったと思います…!ここまで納得のいく映像を作成できたのは、長期間にわたりヤマダからの細かすぎるリクエスト指示にお応えいただいたおかげです(T_T)

柏崎カメラ部様、本当にお世話になりましたありがとうございました!!

プロジェクトはこれにて終了ですが、矢田での亮布作りは新年度も引き続き行う予定です。

より矢田要素を高めた亮布作れないかなーとただいま準備中。今後の矢田地域の動きもお楽しみにです!

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