謎多き布・バーシャ村亮布

亮布(リャンプー)

今回も前回に引き続きバーシャ村ネタです。

いつの日か中国へ再び渡航できるようになったら私が真っ先に向かいたいのが、貴州省のバーシャ村

村ごと、家庭ごとに特色のある亮布(リャンプー)ですが、その中で私が特に魅力を感じるのはこの村の亮布。

バキバキのブロンズ現象が醸しだす独特の紅い色味と、メタリックというよりは油膜が張られているみたいな光沢感を特徴に持っているのがバーシャ亮布です。

どうやって作られているのかいつも気になるのですが、、村には何度か訪れているはずなのに、いつも断片的な工程しか見られないまま帰国(T_T)

何をどうしたらあんな仕上がりになるのか、未だ謎多き布なのです…!

一体どこが謎なのか?というわけで以下ではバーシャ村亮布の不思議ポイントを3つご紹介です。

ほんとに藍の色だけ???玉虫色の布色

先ほども書いたように、布色の独特の紅い色味には美しさを感じる一方で、何を使ってここまでの色味が出せるのか本当に謎です。

使っている染料は藍であることに間違いはありませんが、そのほか確実に使用しているのが卵白(家鴨または鶏の卵から)です。

藍染め現場。大体屋内
布に卵白を塗布。屋外でも見かける。

いやいや、この2つだけでこの色味が出せるだろうか?…というのが私の疑問。。

多くの亮布は藍染めのあとに紅い色味を出す植物染料(または豚の血)で重ね染めしたのち、卵白などを使って光沢加工をほどこします。

しかしバーシャ村で紅い染料で重ね染めしている現場を、私が目撃できたことはまだありません…。

めちゃくちゃ高濃度の藍を使っているのか、実は見えないところで家畜の血などを塗っているのか、特別な植物染料が使われているのか…???

いずれにせよ、道端などに何らかの痕跡が残されているはずなのですが、今まで見た中でそれらしきものはたったこれだけ。。

化学染料?だとしても名称が気になる

地面に広げて干すということは何か塗布しているのかもわかりませんが、これだけでは全くわかりません…。

ちなみに…

前々回の「侗族の布」の中で紹介した三江県程陽八寨の侗布は道端にはっきりとダイイングメッセージ(dying)が残されていました。

至るところにこのような紅い跡が…この村は植物の根から得た染液で重ね染めしています。

布目は何で埋められている???薄い亮布の謎

どうやらバーシャ村亮布は極薄タイプとそうでないタイプ(通常の厚さ?)の2種類があるようです。

前者は恐らく女性が日常的に着用する下衣(スカート。祭礼用はこちらの布ではなさそう)に使われ、後者は上衣や前掛けに使われているようです。

こちらが日常履きスカート。
祭礼用スカート。シャキーンとしている。

特に不思議なのが薄いタイプ。元の布はストール並みに布目が粗い布なのですが、完成した亮布を見るとちゃんと布目は詰まっていて。。

光が透けるほど薄い
完成が近づくにつれ布目が埋まっている!

藍染めの時点では布目はスカスカだったのに、そこに染料を擦り付けて布目を埋めたとしても通常の厚さにまで変化するとは思えません…!一体何が起こっているのでしょうか。。

布を二重にして叩くのはなぜ???

木槌での布叩きは亮布を作る上で欠かせない工程で、バーシャ村でもその様子は至る所で目撃できました。

しかし、この村の布叩きはほかの村とはちょっと違うようで…

多くの村では布を折りたたんでから叩くものの、バーシャ村では初期段階は布を分厚く重ねることはせず、叩く面を徐々に移動させています(特に手作業の場合これがよく見られる)。

餅つきの杵みたいなやつで叩いています。重労働。。

木槌で布を叩く工程は結構体力勝負。折りたたむことでその作業を効率よくできるのですが、その一方で、布が分厚くなってしまう分、折りたたんでいる布の外側と内側とで叩きムラが生じやすいです。

バーシャ村のように布が分厚く重なっていない状態で叩くのは、時間も体力も倍くらい使いますが均一に布が叩ける、というメリットがあります。それがあのメタリックな光沢感に繋がっているのかもしれません。

そしてもう一つ不思議なのが、なぜか布をきっちり二重に重ねること。

他の村では見かけないことでしたが、バーシャ村の場合はなぜか布をぴっちり2枚重ねて叩きます。

生乾きの状態で叩くので、そんなことしたら布同士が叩いた圧力でくっついてしまうのですが、、

先ほどのスカスカ亮布、もしかしたら2枚重なっているのでは?!と思ったのですが、完成した亮布を見ても2枚重なっているような痕跡はなく…。

恐らく重ねて叩くことで効率化を図っているのかもしれませんが、重ねた布をあとでべりべり剝がしてるのかは謎です…。

叩く道具は実は機械もあります。

いずれの謎も布を作る彼女たちに「なんで?」と聞いたことは勿論ありました。

しかし私の中国語レベルの低さと、彼女たちも漢語よりもミャオ語派なところがあったりして意思の疎通が難しくて。泣 それでも、ここまでずかずかとお宅に上がらせてもらえたことには大感謝です。

これらの謎はいつかどうしても、死ぬまでには解き明かしたい!!ので、いつの日かガイドさんを連れてバーシャ村に滞在するのが夢であり目標です…!(お金貯めなきゃ)

それまで、ちゃんと彼女たちが布を作り続けてくれることを願うばかりですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました