続・桃源郷の記

亮布以外

またまた本への思いがアツすぎて、ブログに続編書いちゃうシリーズです。笑

今回は竹田武史著『桃源郷の記 中国バーシャ村の人々との10年』について。

この本は大学の頃に友達から教えてもらった本だったのですが、ちょうど亮布(リャンプー)が気になりだした時期とタイミングが重なったこともあって特別思い入れの深い本です。

SNSでは本の紹介しかしませんでしたが、実はまだまだ書きたいことがいっぱい。というわけでこちらに思いの丈を書き連ねようと思ったわけであります(笑)

初めて訪れた時はちょうど今、菜の花が満開な時期

本書は、前半には著者がバーシャ村で過ごした美しい思い出が、後半部分では中国の経済発展の波が村にも押し寄せてきたことにより、著者自身に葛藤が芽生え、その思いと向き合うまでのことが語られています。

著者の葛藤とは「伝統的な暮らしの変化(発展)を望まないことが本当に村人のためなのか、それは自身のエゴではないのか」というもの。この思いが著者からバーシャ村を遠ざけてしまうことになるのです…。

この本の中につづられていた竹田さんの葛藤は、同じくバーシャ村に魅せられた私自身も深く考えさせられました。そして未だに私の中で答えの出せないテーマであり、、もはや永遠のテーマですね。

村に入ってすぐのザ・観光地という広場。
ちょっと面食らってしまう…

私自身は初めてバーシャ村を訪れたのは2017年でした。

当然『桃源郷の記』に影響されて訪れた訳ですが、さすがに2000年初期とはかなり違っているであろうことは覚悟して足を踏み入れたものの、、バーシャ村のかなりの観光地っぷりにちょっと失望した記憶があります。

仰々しく作られた村の広場や、自然の景観に不釣り合いな巨大な駐車場、もともとは彼らの日常の一部として行われていたであろう儀式も、観光客へのパフォーマンスとして行われているなど…。この村には何度か訪れましたが、訪れるたびに何かが変わり、何かがなくなっているような違和感いつも感じていました。

その一方で、ここの村人たちにはまだ素朴さのようなものが感じられ(だからなんか好きだった)一本違う路地に入ったところにある彼らの生活空間にはどこか日本の昭和を思わせるような懐かしさがありました。

友人撮影
上衣は当時のヤマダ作の衣装を着てもらっています。友人撮影

バーシャ村は一見がっかりするくらい観光地として洗練されすぎてはいるけれど、村をよく見るとまだそこかしこにどこか懐かしさが残されている…。そんな様子にいつのまにかとても惹かれている自分がいました。しかし彼らのこの暮らしは、日本で暮らす私に比べたら厳しくつつましい暮らしなのであろうことなどがわかり、そうそう簡単にこのままでいてほしいとは思ってはいけないのだろうなあ、などと思わされました。

とはいえ、中国の農村の変化スピードはあまりにも早い。農地の観光開発はそこに住む村人たちの意思をそっちのけで進んでいるように私には思え、村人たちは変化に受動的にならざるを得ないのではないか?果たしてその進め方でよいと言えるのだろうか…そんな思いもよぎるのでありました。

しかしこの先、全てを今のまま受け継ごうとすることはきっと不可能なこと。

ならば彼らにとって本当に大切な部分、つまり彼らのアイデンティティを表す彼ら特有の文化は、せめて彼らの心の中にだけでも価値あるものとして意識され続けてほしいと思います。

この先も農村の開発が進められていくことは間違いありません。しかし自己の文化を思う意識があるのとないのとでは、これまでとは異なる、何か新しい変化がこの先に生まれてゆくのではないか、、そんなふうに思うのです。

開発が進んで生活がどんどん豊かになる中で、ひょっとしたら彼らは今、本当に大事なものの存在を見落としそうになっているのかもしれません。

けれども彼らの今の生活や文化の中には「彼らにしかない唯一無二のもの」がきっとまだあるはず。そのことを外から気づかせてあげることが、今後の彼らに必要なことであり、私のできることなのではないか。それがつまり、私にとっては亮布を研究し続ける理由の一つであるのかもしれません。

3年前、バーシャ村のおっちゃんたちと。

今日も何が言いたいのか分からなくなってしまいましたが、この本を読まなかったらこの村との出会いも、こんなことを考えることもきっとなかったことでしょう。

そういった意味でこの本は人生を変えた1冊。教えてくれた友人には本当に感謝です…!

この本をきっかけにバーシャ村には何度も通い、さらには著者の竹田さんにもお会いすることが叶いました。協力隊になるきっかけをくれたのも、こうしてバーシャ村で考えさせられたことがあったからです。

ちなみに…ヤマダがバーシャ村で考えさせられたことについてはこちらでも(宣伝w)。写真は友人が撮影。文章と編集はヤマダが担当したフォトブックです

色々つらつらと書いてしまいましたが、、『桃源郷の記』はとにかく文章が非常に読みやすいので、難しいことは一切ありません(笑)。普通に読み物として楽しめる一冊です。

気になる方は是非読んでみてください^ ^

コメント

タイトルとURLをコピーしました